TOBUGAGOTOKU BY SHIBARYOTARO
いやー長かった。
今まで読んだ司馬遼太郎の作品の中でも1番だった。
江戸時代が幕を降り、新しい明治という時代が始まったときの話を主に西郷隆盛を取り巻く情景で表現されている。
薩摩藩出身で共に戦った西郷隆盛と大久保利通。
お互いを信頼してるにもかかわらず立場が違うからこそ戦った西南戦争。
本人の意思とは関係なく進んでしまう時代。
自分の命を預けてしまい後は何も口出しせず大将として飾り物になる。
右腕だった川路の起こした戦争。途中表立っては言わないが疎ましく思う西郷。
戦を途中で止めて降伏するには死にすぎた兵士の数。
この状況で自分だけ助かり生き延びるということは内面が耐えられない。
ここ城山で死ぬことを時代が求めている事を感じる。
でも切腹は痛かとです。
そげんはやまんでもよか。
突撃して散っていくのが薩摩士族の美学。じぶんで腹を切らなくてもよか。
数え切れないほどの屍の上に成り立つ新時代。江戸城の無血解放だったからこそ行き場の失くした士族のエネルギー。
その行き場を作るための征韓論。
廃藩置県に地租改正
何かを変えるということはその分どこかに歪みが生じる。
そのエネルギーが安定するまで戦いは続く。
西郷が死に、大久保が暗殺され、大警視の川路が病死することで幕を引く明治初期。
先日鹿児島の西郷洞窟を含め辺りを散策したことによりより一層情景が浮かびます。
大変読み応えのある作品に触れることができて司馬遼太郎に感謝。
またいつか読み直したいと思います。
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